こんにちは!歌手&動画クリエイターの相良夏美です!
今回は、以前YouTubeに投稿した「ひこうき雲」Cover制作時に感じたことについてお話します。
歌手なら誰しも意識したことのある「感情を込めて歌う」ということについて、改めて考えるきっかけになりました。
それでは、いってみよー!
実体験をもとにした歌詞
1973年にリリースされたユーミンの「ひこうき雲」。
亡くなってしまった方の命をひこうき雲に重ねて歌うこの曲は、ユーミンの2つの実体験が元になっているようでした。
ひとつは、ユーミンの小学生時代の同級生で病気を抱えた男の子が高校一年生の時に亡くなってしまったこと。
もうひとつは、ユーミンが当時高校3年生だった時に近所の団地で起きた飛び降り自殺の出来事。
ユーミンが身近に感じた「死」を題材にしている曲なのですが、「悲しい」といったマイナスの言葉があまり書かれていないことが、最初は不思議でした。
歌手は感情に吞まれてはいけない
いざ歌うとなると「悲しい」といった言葉が一切無いのにも関わらず、自分の身近な人の「死」を思い起こし、どうしても悲しくなってしまいます。
練習中も、歌いながら涙が止まらなくなったことが何度もありました。
その時に思い出したのは、以前クラシック声楽を教わった先生が、ある時レッスン中にかけてくれた言葉でした。
歌手はね、歌いながら感情に呑まれていけないの。なぜなら、きちんと歌詞を伝えるために私たちはいるんだから。泣いたり、怒りを露わにしていたら歌詞はきちんと伝わらないでしょ。感情を込めつつ、一歩引いて自分を俯瞰して見ているもう一人の自分がいることで、きちんと人に伝わる歌を歌えるのよ。
当たり前のようでいて、言葉を伝える歌手にとってものすごく大事な言葉だなあと胸に刻んでいます。
これまでにも、歌詞の内容によって練習中に何度も泣きそうになることがありましたが、
ひたすら歌いこんで俯瞰するもう一人の自分をつくる練習をしました。
今回も同じかなと思ったので、たくさん歌い込むことで徐々に冷静に感情を込めることが出来るようになってきました。
ユーミンの新しい視点
冷静になったところで、「なぜマイナスな言葉があまり書かれていないんだろう」という疑問に再び行きつきました。
読む人によって色々な答えがあると思いますが、私はユーミンが「死」というものに対して、残された側の人間からの視点ではなく亡くなった方の視点から詩を書いたからだと感じました。
残された側からの視点では、「悲しい」「寂しい」「悔しい」などの感情があるかと思います。
一方で、亡くなった方の気持ちを想像するに、「悲しい」「寂しい」「悔しい」といった感情ももちろんあるかと思いますが、ユーミンが経験した2つの出来事から考えると、どこか「旅立ち」「解放」といった気持ちもあったのではないか…とも思います。
病気や自殺で亡くなることに対して、決して肯定する訳ではありません。
でも、この世でどうすることも出来ない問題を抱えていた彼らは、死に対して私たちにはわからない感情も抱えていたであろうと思います。
そのことを想像して歌詞を書くことで、残された側の私達の気持ちにそっと寄り添って、立ち直れるように敢えてポジティブな気持ちにしてくれているような気がするのです。
だから、今になってもたくさんの人に愛される曲になったのだなぁと思います。
若干19歳でこの曲を書いたユーミン、恐るべし…!!
「キーン!」と届け!!
Coverしてみることで、曲に対して新たな発見がありました。
そして、物事を多角的な視点から見ることで、誰かの心に寄り添えるような新しい表現が見つかるということ、非常に勉強になりました。
ひこうき雲みたいに真っ直ぐ、誰かの心に届くような歌にしたい!と思って制作しましたので、
「キーン!」と届いておりましたら幸いです(笑)
以上、ここまで読んでいただきありがとうございました!!